おとなのファイナンス
初級編|第1回 PLの見方
BEGINNER FINANCE

PLの見方

損益計算書を「売上・費用・利益」の3つから理解し、最終的には実際の決算書を読めるようになる。

この回のゴール
PLを見たときに、「何で儲けたのか」「どこで利益が増減したのか」「その利益は本当に続きそうか」を自分で説明できる。

1. PLとは何か

PL(Profit and Loss Statement / 損益計算書)は、ある一定期間に会社がどれだけ売上を上げ、どれだけ費用を使い、最終的にいくら利益を残したのかを表す表です。

BSが「ある時点の会社の状態」を表すのに対して、PLは「1年間などの期間中に会社がどう稼いだか」を表します。

いきなり細かい勘定科目を覚える必要はありません。まずは「売上 → 費用 → 利益」という流れをつかむのが先です。

2. 超シンプルに理解する

売上
お客さんから得た金額
費用
売るために使ったコスト
利益
会社に残った稼ぎ

たとえば100円の商品を売って、その商品を仕入れるのに60円、人件費や家賃などに20円かかったなら、残る利益は20円です。

図解:PLの一番シンプルな構造を見る
売上高 100
費用 80
利益 20

実際のPLでは、この「費用80」がいくつかの種類に分かれ、それに応じて複数の利益が表示されます。

3. PLには「利益」がいくつもある

PLがややこしく見える最大の理由は、利益が1種類ではないことです。日本企業の決算書では、主に次の利益を順番に見ていきます。

売上総利益
商品・サービスそのものからどれだけ粗く稼げたか。
営業利益
人件費・広告費・家賃なども含め、本業でどれだけ稼げたか。
経常利益
本業に加えて、利息など通常発生する営業外損益まで含めた利益。
税引前利益
特別損益なども反映し、税金を引く前の利益。
当期純利益
最終的に株主に帰属する利益のベースとなる数字。
補足:なぜ利益をこんなに分けるのか

会社の利益が増えたとしても、それが「本業が強くなったから」なのか、「保有株を売ったから」なのかでは意味がまったく違います。

だからPLでは、利益が生まれた場所ごとに段階を分けて表示します。

4. 各項目を詳しく読む

売上高

会社が商品やサービスを販売して得た金額です。ただし、売上が増えているだけでは十分ではありません。数量が増えたのか、値上げしたのか、買収したのかなど、増え方の中身を見る必要があります。

売上原価と売上総利益

商品・サービスを提供するために直接かかったコストが売上原価です。売上高から売上原価を引いたものが売上総利益、いわゆる粗利です。

販売費及び一般管理費

人件費、広告宣伝費、物流費、家賃、研究開発費など、会社を運営して売上を作るための費用が含まれます。

営業利益

売上総利益から販管費を引いたものです。企業分析では「本業の稼ぐ力」を見る代表的な利益として非常によく使われます。

計算例:利益率まで見てみる
項目金額売上比
売上高1,000100%
売上原価60060%
売上総利益40040%
販管費25025%
営業利益15015%

営業利益率は15%。翌年に売上が増えても営業利益率が10%へ落ちていたら、「成長しているが、以前より稼ぎにくくなっている」と読めます。

5. PLを読むときは、この順番で見る

1
売上は伸びているか
前年比・数年間の推移を見る。
2
利益は売上以上に伸びているか
利益率が改善しているか悪化しているかを見る。
3
どの段階の利益が動いたか
粗利なのか、販管費なのか、営業外なのかを切り分ける。
4
一時要因はないか
資産売却益、減損、特別損失などで最終利益だけ動いていないか確認する。
5
来期も続く利益なのか
企業価値を考えるときは「再現性」が重要。

6. 実際の決算書はこう見える

実際の決算書では、次のように項目が縦に並びます。まずはすべてを読むのではなく、売上高・営業利益・純利益の位置を見つけられれば十分です。

実際のPL風レイアウトを見る
損益計算書(例)前期当期
売上高1,0001,120
売上原価600650
売上総利益400470
販売費及び一般管理費250270
営業利益150200
営業外収益・費用(純額)5-10
経常利益155190
特別損益(純額)0-30
法人税等4550
当期純利益110110

読み方:営業利益は150→200へ大きく増えています。一方、特別損失30が発生したため、最終的な純利益は110で横ばいです。

このプロトタイプでは架空数値を使用。正式版ではここに実在企業の短信・有報のPL切り抜きを入れる想定です。

実在企業の決算書を入れる場所(正式版用)
ここに実在企業の有価証券報告書・決算短信から切り抜いたPL画像を配置
元資料リンク/対象年度/見るべき行のハイライトを併記

7. 練習問題

問題
ある会社の売上高が1,000億円から1,100億円へ10%増加しました。一方、営業利益は100億円から90億円へ減少しました。

① 前期と当期の営業利益率を計算してください。
② 売上だけを見て「業績が良くなった」と判断してよいでしょうか。
解答を見る
前期:100÷1,000=10% / 当期:90÷1,100≒8.2%

売上は増えていますが、営業利益率は10%から約8.2%へ低下しています。したがって、値下げ・原価上昇・販管費増加などにより収益性が悪化している可能性があり、売上だけで「業績改善」とは判断できません。